【偕楽園】

偕楽園には、拡張部を含めない本園部分だけで100種3000本の梅が植えられている。園内には梅の異名「好文木」
に由来する別荘好文亭があるが、晋の武帝が学問に親しむと花が開き、学問をやめると花が開かなかったという
故事に基づいている。弘道館は偕楽園と一対の施設であり、同じく梅の名所である。

水戸藩第9代藩主徳川斉昭(烈公)は、1833年(天保4年)藩内一巡後、水戸の千波湖に臨む七面山を切り開き、
回遊式庭園とする構想を持った。同じく彼の設立した藩校弘道館で文武を学ぶ藩士の余暇休養の場へ供すると同時
に、領民と偕(とも)に楽しむ場にしたいと、この巨大な大名庭園は斉昭自らにより「偕楽園」と名づけられた。
偕楽とは中国古典である『孟子』の「古の人は民と偕に楽しむ、故に能く楽しむなり」という一節から援用した
もので、斉昭の揮毫『偕楽園記』では「是れ余が衆と楽しみを同じくするの意なり」と述べられている。水戸学へ
帰着する斉昭の愛民精神によりこの庭園は、江戸時代当初から毎月「三」と「八」が付く日には領民にも開放されて
いた。伝統を受け継ぎ、いまなお偕楽園は日本三名園のうちで唯一、入園無料である(ただし、前述の好文亭を
利用する場合は有料)。

偕楽園では毎年2月下旬から3月下旬に、水戸の梅まつりが開催される。水戸の梅まつりは、2016年時点で120回
開催された。開催期間中には多数の観光客で賑わい、キャンドルライトを使って梅をライトアップする夜梅祭や
茶会など、種々様々な催し物が行われる。また園内で4月には水戸の桜まつり、5月には水戸のつつじまつり、9月
には水戸の萩まつりが行われる。偕楽園公園を含め8月には水戸黄門まつりが行われる。関連の観光大使として
茨城県水戸市により水戸の梅大使が毎年選出されている。

また、毎年6月第2土・日に梅の実を偕楽園公園センターで頒布する。
広さは偕楽園部単体で約58haうち本園が約13haあったが、茨城県は平成11年(1999年)7月、隣接する千波湖を
含む千波公園及び緑地帯とあわせて園の名称を「偕楽園公園」とする構想を発表、面積の合計を300haに拡張した